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「歯周病:歯肉炎と歯周炎」2022年 霜月

 

 

日本の成人の約7割が、歯周病を患っているとされる。
放置すると心臓病や認知症など重大な疾患につながることが、近年わかってきた。
ただ、歯周病は自覚症状がないまま進行していくことが多い厄介な病気。
ただ、ひと口に歯周病と言っても「歯肉炎」と「歯周炎」では必要となる治療が異なる。

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基本となるのはSRP

歯の土台となる歯槽骨に影響がない「歯肉炎」の場合、「ブラッシング」が重要。
日本歯周病学会専門医・指導医で元東北大学歯学部大学院臨床教授の
弘岡氏(スウェーデン・デンタルセンター院長)が指摘する。

 

「歯肉炎では、患者自身のブラッシングで歯肉より上の歯面から
プラークを取り除くことで炎症を治めることができます。
歯科医院では、医師や歯科衛生士が様々な器具を使って
普段の歯みがきでは除去しにくい部位、特に歯と歯の間などを中心に
歯石やプラークを取り除きます」

 

プラークや歯石を除去できれば、1週間ほどで歯肉炎は治まる。
あとは、衛生士によるブラッシング指導を受け、
適切なメンテナンスを継続することが重要。

 

「歯周炎」に進行した場合、問題は深刻となる。
「歯周炎になると歯肉が赤く腫れ、血や膿が出たり、口臭が生じるなどの症状が出ます。
放っておくと、歯はぐらつき、歯槽骨が喪失して歯を支えることができなくなり、
適切な治療を受けないと歯が抜けてしまいます」(弘岡氏)

 

表面的な「プラークコントロール」だけでは症状の改善が困難で、
病気の進行は止められない。
「歯周炎の治療では、歯周ポケット内(歯肉縁下)に器具を入れて
歯の表面にSRPと呼ばれる治療を行ない、プラークや歯石を除去します」(弘岡氏)

 

SRPとは、歯周炎の基本治療となる非外科処置。
「細い針のようなスケーラーで歯面から歯石を取る『スケーリング(SC)』と、
歯石が付着していた歯根部分を滑らかにする『ルートプレーニング(RP)』という
処置を同時に行なう治療です。
この時、歯面に付着したプラークも同時に除去します」(弘岡氏)

 

この治療では検査用のプローブよりも太く刃先のついた器具を用いるため、
痛みが伴いやすい。「必要に応じて局所麻酔をかけたりして行ないます。
この非外科処置で歯肉縁下のプラークや歯石を取り除き、
数か月後、炎症がなくなり歯周ポケットの深さが改善すれば治療は成功です」(弘岡氏)

 

歯肉縁下のSRPにより、重度の歯周炎患者の歯周ポケットの深さが改善し、
その後も健康な歯周組織が維持されたとの研究報告もある。
また、SRPは歯茎などにメスを入れない非外科処置のため、
術後に歯肉が大きく下がるなどの見た目のデメリットもない。

 

「再発リスク」が高い

一方、SRPなどの非外科処置では歯周ポケットの深さが改善しなかったり、
歯石やプラークが取り切れない重度の歯周炎の場合、
「外科処置(手術)」が必要になる。

 

「ポケットの深いところや、奥歯の歯根の分かれているところ(根分岐部)まで
歯周炎が進んでいる場合、非外科処置では歯石やプラークは取りきれません。
こうしたケースでは、麻酔をして歯肉を切開し、歯根の表面を露出させてから、
歯石やプラークを取り除く外科処置(手術)を行ないます。
歯根の表面を直接見ながら確実にプラークが除去できるため、歯周炎が改善されます」
(弘岡氏)

 

しかし、外科処置では術後に歯肉が大きく下がり、
歯が長くなったように見えるデメリットが生じることもある。
治療で歯茎の健康が取り戻せても、見た目を元のように戻すのは難しいという。

 

また、重度の歯周炎で歯を支えている骨などの歯周組織が失われてしまった
ケースに対して、それらを再生させる「歯周組織再生療法」が選択されることもある。

 

「20年以上前にスウェーデンで開発され、世界で広く応用されている
エムドゲイン療法(幼若ブタの歯胚から抽出されたエナメル基質タンパクを
歯根面に塗布して歯周組織の再生を促す治療法)、
近年日本で開発されたリグロス(細胞増殖因子を含む薬剤を歯槽骨欠損部に
塗布する治療法)があります。
それらが適応かどうかは患者や部位によって異なるため、歯科医師が判断します。
歯周組織再生療法により重度歯周炎で抜歯が避けられない歯の保存が可能になります。
抜歯の前に歯の保存を考えましょう」(弘岡氏)

 

エムドゲインは自費診療なので5万~20万円、
リグロスは2017年から保険適用となり約8000円の医療費負担となる。

 

どんな治療を選択するにせよ、何より大事なことは「治療後のセルフケア」にある。
日常のプラークコントロールが肝となる歯周病では、
一度、罹患した人は再発の可能性が高いとされる。
そのため、治療後のケアが重要。

 

日本歯周病学会認定歯科衛生士の加藤氏が言う。
「歯周病の治療は、患者さんと歯科医師、衛生士が共同で行なわないとうまくいきません。
まずは患者さん自身が歯周病がどんな疾患かを学ぶこと。
そして、歯と歯の間、歯と歯茎の間など、プラークが溜まる場所に特化した磨き方を知り、
1日1回は完璧にプラークを落としていただく必要があります。
歯間ブラシなどの補助用具も太さなどたくさんの種類があるので、
何が必要か、専門家のアドバイスを受けて使っていただきたい」

 

歯周病は「治しただけ」では終わらない。
治療により歯の隙間が開けば歯列矯正が必要になり、
抜歯後にはスペースを補う義歯やブリッジ、インプラントなどの
補綴治療が必要になることもある。

 

「抜歯が避けられなかった歯周病患者にインプラントを応用する場合、
歯周炎と同じメカニズムで生じるインプラント周囲炎の発症リスクも高くなるので、
その予防も考えなくてはなりません。

 

歯周病治療期間は短ければ半年、重度になると2~3年かかるケースもあります。
重度歯周病の治療を受けた患者さんは回復した健康の維持のため
歯科医院での定期的なメンテナンスが必須です。
歯周病の適切な治療法とその後のケアについて、ぜひ理解していただきたい」(弘岡氏)

 

処置後のケア次第で良くも悪くもなる歯周病治療。
歯の状態は「健康寿命」を左右するだけに丁寧に行ないたい。

 

週刊ポスト2022年9月30日号 参照

 


 

 

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WEBマスは、夜ぐっすり眠れるだけで幸せです。(笑)

 

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今回は週刊誌ネタではありますが、、、「歯周病」などを拾ってみました。
【歯の状態は「健康寿命」を左右する。】
予防医学の観点からでも「歯」は重要な所なのかも知れませんねぇー。

 

ご参考までに・・・
つづく。